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【業界視点】アリババやJDなど中国のEC企業が注目!次の成長ビジネス「スマートホーム市場」の今とこれから

発布時間:2020-04-16

IoTやAIの発展により、中国ではオーディオブックが浸透しています。オーディオブックの浸透により、企業が高性能なスマートスピーカーの開発、音声再生サービスを提供し始め、スマートホーム市場にまで拡大している中国市場について解説します


华琦(Piero Hua)

Account Manager, transcosmos China


中国では近年、本を「読む」のではなく「聴く」ことが隙間時間の活用法の1つとして日常生活に浸透してきました。IoTやAI技術の発展に伴い、スマートスピーカーが音声配信プラットフォームに接続することが広く普及してきたからです。


また、スマートスピーカーに対応しているスマート家電製品は巨大な市場ポテンシャルを持つため、ハイテクノロジー大手企業が次々とスマート家電製品の展開を進めています。


|時代の潮流に乗って誕生したオーディオブック

現代人の生活テンポが速くなると同時に、隙間時間を有効活用するオーディオブックは中国人の読書習慣に深く影響してきました。ここ数年のオーディオブックの目覚ましい進化で、音声配信プラットフォームは誕生しました。


時間や場所を選ばず情報を得られる音声配信プラットフォームは、手軽に文字を音声に変換できます。たとえば、AI読み取り技術は、テキストを高品質な音声形式に変換することにより、ユーザーのさまざまなニーズに満たします。 


中国市場で人気の「喜馬拉雅(Himalaya)」 

2013年に配信がスタートしたアプリ「喜馬拉雅(Himalaya) 」は、中国市場で業界シェア1位の音声配信プラットフォームです。7年間でモバイルユーザーが4.8億人を突破しました。


単純なオーディオブックプラットフォームから、UGC(User Generated Contents:ユーザー自身が作る共有コンテンツ)音声配信プラットフォームとし発展し、ベストセラーとなった音声著作権の70%を保持しています。


プロや読者が朗読した音声をはじめ、ラジオ、音楽、児童教育、漫才、生放送などさまざまなオーディオコンテンツがあります。


喜馬拉雅(Himalaya)のロゴ 


                 

     喜馬拉雅(Himalaya)アプリ画面


喜馬拉雅(Himalaya)のアプリをはじめとした各音声配信プラットフォームは成長を続けており、サービスもコンテンツもより豊富になりました。


大手企業は次々と傘下企業のスマートスピーカーを音声配信プラットフォームに接続し、ユーザーに高品質な音声再生サービスの提供を開始。EC・IT企業からも注目されています。


|スマートスピーカーの新たなチャンス

前述の通り、音声配信プラットフォームは膨大なユーザーを抱えているからこそ、各スマートスピーカーブランドから注目を集めました。


具体的な例では、アリババグループの「天猫精霊(Tmall Genie)」、総合家電メーカの小米科技(Xiaomi)の「小愛(XiaoAI)」、京東集団(JD)の「DingDong」、バイドゥの「小度(Xiaodu)」といったスマートスピーカーは相次いで音声配信プラットフォームに接続され、多くのユーザーに利用されています。


「音楽を流す」「オーディオブックやニュースを読み上げる」「宅配便をチェックする」など、ユーザーのニーズに合わせたサービスを提供できる音声配信プラットフォームは、スマートスピーカーに新しいチャンスをもたらすと言っても過言ではありません。


スマートスピーカーの普及を促した「天猫精霊(Tmall Genie)」

アリババグループの「天猫精霊(Tmall Genie)」を例に説明します。


「天猫精霊(Tmall Genie)」に「天猫精霊(Tmall Genie)、喜馬拉雅(Himalaya)を流して」と話しかけると、スマートスピーカーは自動的に喜馬拉雅(Himalaya)の人気番組を探して再生。本の名称や作者を言えば、ユーザーの好みに従って本を朗読します。


2017年のW11(ダブルイレブン)で、アリババグループは「天猫精霊X1(Tmall Genie X1)」をタオバオのVIP会員向け優遇価格「99元(約1,515円)」(定価499元、約7,635円)で販売しました。


以降、スマートスピーカーは潜在ニーズを顕在化した製品となり、各世帯への普及が始まりました。


天猫精霊X1 (第一代アリスマートスピーカー)

(画像はトランスコスモスチャイナ編集部が「Tmall精霊公式旗艦店」からキャプチャ)


世界シェアを伸ばす中国企業のスマートスピーカー

科学技術分野の市場分析を行うStrategy Analyticsが公表した『2019年Q2世界スマートスピーカー市場出荷量』によると、スマートスピーカでAmazonは市場シェアの21.9%で1位を維持していますが、Googleがシェア18.5%でAmazonに続いています。そして中国メーカーのバイドゥ(15.3%)、アリババ(14.1%)、小米(11.1%)が続き、3社合計で世界市場シェアの40.5%を占めています。


2019年Q2世界スマートスピーカー市場出荷量(出典:データ:Strategy Analytics、画像:Business Wire)


データからも分かるように、スマートスピーカーは世界規模で急速に普及が進んでおり、中国市場には膨大な潜在能力があります。中国の大手ハイテク企業はスマートスピーカー市場で激しい競争を繰り広げており、スマートスピーカーの発展を後押ししています。


また、AIとIoTの応用範囲が拡大するにつれて、EC・IT大手企業はスマートスピーカーの背後にある巨大なスマートホーム市場に相次いで進出しています。


|スマートスピーカーからスマートホーム市場へ

今、中国スマートホーム市場では2大陣営であるアリババグループの「天猫精霊(Tmall Genie)」と小米科技グループの「小米スマートエコチェーン(EcoChain smartmi)」が激しい競争を続けています。


「天猫精霊」(Tmall Genie)

2017年、「天猫精霊公式旗艦店」では黒と白のスマートスピーカー「天猫精霊X1 (Tmall Genie X1)」しか販売していませんでしたが、現在は若年層向けの多くのコラボレーション版を展開。たとえば、「天猫精霊(Tmall Genie)」でスタ―バックスのコーヒーが注文できるスターバックス版、ドラえもん版などもあります。


コラボレーションの天猫精霊(Tmall Genie、画像はトランスコスモスチャイナが「天猫精霊公式旗艦店」からキャプチャし編集部が追加)


それ以外に、「天猫精霊公式旗艦店」はデバイスのON/OFFを音声コマンドで操作できるスマートスケットや、調光・調色が可能なスマートLEDランプなどのスマート家電製品を販売しています。商品を購入後、天猫精霊アプリでデバイスを追加すると、音声制御ができるようになります。


             

天猫精霊のアプリでデバイスを追加する画面(左の画像の左赤枠がデバイス欄。右の画像上段赤枠がブランド名、下赤枠が製品モデル名)


小米スマートホーム用品エコシステム

アリババグループと異なり、小米科技(Xiaomi)は自社ブランド製品開発からスマートホーム用品市場へ参入し、第三者ブランドと業務連携をしていきました。2017年4月に小米参加のECサイト「小米有品」をリリースして、スマートホーム用品の分野に乗り出しました。


「有品」はスマートホーム用品を専門に取り扱うプラットフォームから発展した小米傘下の生活用品ショッピングモール。自社ブランド製品だけでなく第三者ブランドの製品を販売し、スマホに限らずアパレル、美術品、調理用品、ペットなども取り扱っています。


小米傘下の生活用品ショッピングモール「小米有品」(画像はトランスコスモスチャイナが「小米有品」からキャプチャし編集部が追加)


オンラインECプラットフォームのほかに、ハイテクノロジー技術を持つ小米は、「米家(MI HOME)」アプリを使い、loTプラットフォームとスマートデバイスの一元管理を実現しました。


米経済誌「フォーチュン(Fortune)」が2019年7月に発表した2019年世界企業番付「フォーチュン・グローバル500」では、初めて小米が468位にランクインしました。また2019年世界企業番付「フォーチュン・グローバル未来50」の中でも7位にランキングされるなど、高い評価を受けています。(「フォーチュン・グローバル未来50」は、「市場潜在力」と「潜在力を引き出す能力」によってランキングされます)


海外メディアによると、Appleは2019年に人員募集を行いスマートホーム用品の事業展開を計画しているようです。また、音声配信プラットフォーム「喜馬拉雅(Himalaya)」は「小雅」スマートスピーカーを開発、音声コンテンツをスマートデバイスに接続するとのことです。


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オーディオブックからスマートスピーカーへ、またスマートホーム用品へと、変化の激しい中国市場が製品技術とサービスの成長を後押しています。今後loTやAI、5Gなどが急速に普及することで、スマートホーム企業の黄金時代になることが予想されます。


報道関係者お問い合わせ先

transcosmos China マーケティング部

Email:marketing@transcosmos-cn.com

Tel:+86(0)21-5256 4608

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